沖縄戦の歴史歪曲を許さない!教職員集会アピール

 私たち教職員の責務は、子どもたちに真実を教え伝えることです。その真実が時の政府により、簡単に変えられることがあってはなりません。しかし3月30日に公表された教科書検定で明らかになったのは、沖縄戦における「集団自決」から「軍の関与」を削除するという、まさに「沖縄戦の実相」を否定するものでした。これは「従軍慰安婦」や「南京虐殺」同様、政治的意図による歴史歪曲としか言いようがありません。
 今回の検定意見の理由として、文科省は「大江・岩波『集団自決』訴訟」をあげています。しかし現在係争中の裁判に言及するばかりか、当時守備隊長であった原告の主張のみを根拠に、教科書の書き換えを行うことは、司法どころか国民を愚弄するものです。
 私たちはこれまで、教育基本法改悪にはじまる政府与党のねらいは「戦争できる国民づくり」だと訴えてきました。4月13日には衆議院で「国民投票法案」が強行採決されるなど、その動きはますます加速しています。そのような中、日本軍の強制と誘導によっておきた肉親同士の殺し合いである「集団自決」を「殉国美談」としてねじ曲げ、「戦争できる国民づくり」に教育を利用しようとする文科省の動きを決して許してはなりません。
 私たちは1982年、文部省(当時)の「住民虐殺」記述削除の動きに対し、全県民の声を集め、記述復活させた経験があります。今再び「沖縄戦の歴史歪曲」をもくろむ文科省に対し、改めて「沖縄戦の実相」を全国へ伝えていく、そのことが私たち沖縄県民の責務なのです。
 私たち教職員は「教え子を再び戦場に送らない」という決意のもと、沖縄戦の実相を教えることが教師の責務であることを確信しています。教育が一方的な考えを押しつけることは決してあってはならないのです。
 「子どもたちの未来」を守るために、今回の検定が撤回されるまで、県民とともに、粘り強く「沖縄戦の実相」を訴えていきましょう。

 
 
2007年4月17日
沖縄県教職員組合
沖縄県高等学校障害児学校教職員組合
民主教育をすすめる沖縄県民会議




 




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