昨年10月、「5年内の憲法改正」、「戦後レジュームからの脱却」など、戦後民主主義を否定し、戦前回帰を標榜する安倍内閣が誕生した。以来8ヶ月余。衆議院における与党の絶対多数を背景に、安倍内閣の暴走は続き、猛威が吹き荒れている。
憲法を改悪するための手続き法案、いわゆる「国民投票法」を強行成立させたのをはじめ、戦後民主教育の根幹をなした教育基本法の全面改悪、その実施のための教育3法案の強行。方や、米軍のグァム移転に伴う7,000億円にものぼる巨額を支出することを骨子とする米軍再編円滑化法案の強行立法など、その反動性は枚挙に暇がない。
そして一方で、集団的自衛権の行使に踏み出す諮問機関を立ち上げ、米ブッシュ政権と一体となったミサイル防衛システムの構築に余念がない。
この突出するタカ派内閣がもたらしたものは、中央政局における怒濤のような反動立法の法制化にとどまらず、県内においても、信じられないような問題を惹起し県民を震撼させている。
去る、5月18日には、辺野古新基地建設のため、那覇防衛施設局が行う違法な事前調査に、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を派遣し、鉄砲を県民に向け威圧したのみならず、現役自衛官のダイバーを、米軍基地建設のために投入している。
また、去る3月の教科書検定審査会に、沖縄戦における集団自決にかかる軍命はなかったと文部科学省の修正意見を提出し、悲惨を極めた沖縄戦の最大の悲劇と言われる集団自決の歪曲を画策している。
これらのことが県民に与えた衝撃は計り知れず、今や、保革を問わない政府への怒りとなって燃え盛っている。
このような情勢下、安倍内閣の総理大臣たる安倍晋三首相が、明日6月23日の『慰霊の日』に摩文仁平和祈念公園で開催される県主催の「戦没者追悼式」に参加する予定と報じられている。
戦後62年、米軍基地の重圧に苦しみ米軍基地の整理縮小・撤去を訴え続け、戦争のない平和な世界の構築を訴え続けた県民に背を向け、それのみならず、沖縄戦の傷今なお癒えない県民に向かって謝罪をするためであればいざ知らず、集団自決にかかる軍命なかったと公言してはばからない総理大臣が、追悼式典に参加することを県民は善しとしない。
それはむしろ無念の死を強要された人々に対する冒涜であり、死者を再び鞭打つ行為に等しい。それゆえに、県民は安倍首相の式典への参加を許さない。私たちは、満身の怒りをこめて、安倍内閣の数々の蛮行に抗議するとともに、県民の思いを踏みにじる「戦没者追悼式」への参加を撤回するよう強く要求する。以上アピールする。
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