教科書検定に関する意見書

 本県議会は、去る622日に全会一致で教科書検定に関する意見書を可決して関係要路に要請したところであるが、県内41市町村の議会においても同様に教科書検定意見の撤回と「集団自決」に関する記述の回復等を求める意見書が相次いで可決されたことを踏まえ、去る74日に沖縄県、沖縄県議会、市長会、市議会議長会、町村会及び町村議会議長会の代表6名が連携して関係要路に教科書検定問題に関する要請を行った。
 これに対し、文部科学省は「教科用図書検定調査審議会が決定することであり、理解していただきたい」との回答に終始し、検定意見の撤回と「集団自決」に関する記述の回復を拒否している。
 しかしながら、今回の教科書検定に際して、文部科学省はあらかじめ合否の方針や検定意見の内容をとりまとめた上で同審議会に諮問していること、諮問案の取りまとめに当たっては係争中の裁判を理由にし、かつ一方の当事者の主張のみを取り上げていること、同審議会の検討経緯が明らかにされていないこと、これまでの事例ではほぼ同省の諮問どおりに答申されていることなどを考えた場合、今回の同省の回答は到底容認できるものではない。
 また、要請への対応に当たって、本県議会を初め県内41市町村の議会すべてで意見書が可決され、県民の総意が明らかにされたことに対する重みへの配慮が十分でなかったことはまことに遺憾である。
 よって、本県議会は、沖縄戦における「集団自決」が日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、平和を希求し、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、今回の検定意見が撤回され、同記述の回復が速やかに行われるよう再度要請する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年7月11

沖縄県議会        

 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 文部科学大臣
 沖縄及び北方対策担当大臣

inserted by FC2 system