教科書検定に関する意見書

 2008年度から使用される高校教科書(日本史)の検定結果の公表によると、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「日本軍による強制または命令は断定できない」との検定意見により、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させられていたことが明らかになった。
 その根拠として文部科学省は、日本軍による命令を否定する学説が出てきていることや、自決を命じたとされる元軍人らが起こした裁判などを挙げている。
 係争中の裁判を理由にし、かつ一方の当事者の主張のみを取り上げることは、文部科学省自らが課す検定基準「未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと」を逸脱している。
 集団自決の個々の事例に関し、「命令」があったかどうか文書的証拠が出てくる可能性は無きに等しく、事実検証は難しい。しかし、当時将兵はもとより、住民も投降を許されない極限状況の中、日本軍の手で手榴弾が配られ、それによって自決に追いやられたことは、数多くの証言が示している通りであり、実態上、日本軍が集団自決へと誘導・強制したのは紛れも無い真実である。
 このような歴史的事実が歪められ教育現場に提供されることは、悲惨な地上戦を体験し筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない。
 また、本市においては、1945年9月7日に沖縄戦の降伏調印式が現在の嘉手納基地内にある森根で行われたことから、その日を「沖縄市民平和の日」とし、平和の願いを広く世界に発信し続けている。沖縄戦の実態から目をそむけず、惨劇の真実をありのままに伝え、平和の尊さを訴えていくことは、将来を担う世代への責任である。
 よって本市議会は、沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の検定意見が速やかに撤回されるよう強く要請する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成19年5月28

沖 縄 市 議 会      

あて先 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 文部科学大臣
    沖縄及び北方対策担当大臣 沖縄県知事

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