教科書検定に関する意見書

2008年度から使用される高校教科書検定の結果が公表され、沖縄戦における「集団自決」の記述につき、「日本軍による強制または命令は断定できない」との検定意見によって、日本軍による命令・強制・誘導等の表現が削除・修正されていることが明らかになった。
 沖縄戦の記述をめぐっては、1982年、当時の文部省の検定により日本軍による「住民虐殺」の記述削除が明らかになった際、沖縄県議会は全会一致で意見書を採択し、記述復活をさせた経緯がある。
 沖縄戦では住民を巻き込む激しい地上戦が展開され、その渦中で「集団自決」がおきた。極限状況下の集団自決は沖縄戦の実相を象徴的に伝えるものである。
 今回、文部科学省は「集団自決」の記述修正・削除の主な理由として、大阪での「集団自決」訴訟を挙げている。しかし現在係争中である裁判を理由にし、かつ、元隊長である原告の主張のみを-一方的に取り上げることは、文部科学省が自ら課している検定基準「未確定な時事的事象について断定的に記述しているとろはないこと」を逸脱しているばかりか、体験者の証言や沖縄戦の実相を再び否定しようとするものである。
 沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による命令・強制・誘導なしには起こり得なかったことは紛れもない事実であり、そのことがゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない。
 よって、本部町議会は、沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の検定意見が速やかに撤回されるよう強く要請する。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成19年6月18日

                             本 部 町 議 会

 宛先 内閣総理大臣、文部科学大臣、沖縄担当大臣

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