意見書第3

教科書検定意見の撤回を求める意見書

 平成20年度から使用される高校歴史教科書検定結果の公表によると、沖縄戦における「集団自決」の記述について「日本軍による強制または命令は断定できない」との検定意見により、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させられていたことが明らかになった。
 修正意見の根拠として文部科学省は、日本軍の命令よりも自決に至った精神状態を論じる学説の台頭や、元日本軍指揮官らが「自決命令はない」として起こした裁判などを挙げている。
 しかし、沖縄戦における「集団自決」が、日本兵から命令・強制・誘導等されたとする住民証言が多いことと、軍命が直接なくても日本軍に強制される状況に置かれていたことは公知の事実として、これまで文部科学省でも容認してきたところであり、また裁判所でも「沖縄戦における日本軍による住民の犠牲者には日本軍により直接殺害された者のほか、自決を強要された者、壕を追い出された者、食料を強奪され死亡に至った者があるとするのが概ね学会における一般的理解である」(東京高裁 平成5年判決)として日本軍による強制が認定されてきたところである。
 さらに、85人が命を絶った我が読谷村で起こったチビチリガマ「集団自決」においても、当時の母親達は「捕虜になるよりは死ね、」「当時はそういう教えだった」と日本軍がすべてを支配する戦時状況の中で教育され、誘導されてきたことを涙ながらに証言している。
 「集団自決」が日本軍による命令・強制・誘導等なしに起こりえなかったことは紛れもない事実であり、係争中の裁判や、確定していない一部の学説を理由に、この歴史的事実を否定することは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた読谷村民として到底容認できるものではない。
 よって本村議会は、沖縄戦の史実を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の教科書検定意見を速やかに撤回されるよう強く要請する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19620

沖縄県読谷村議会

あて先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣
    沖縄県知事、沖縄県議会議長

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