教科書検定に関する意見書

 2008年度から使用される高校教科書検定結果の公表によると、沖縄戦における「集団自決」記述について「日本軍による強制または命令は断定できない。」とし、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させられたことは大変遺憾である。
 今回文部科学省は、「集団自決」記述修正・削除の主な理由として、「集団自決の訴訟を挙げていますが、現在係争中である裁判を理由にし、かつ、元隊長である原告の主張のみを一方的に取り上げることは文部科学省自ら課している検定基準である「未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと」を逸脱しているばかりか、これまでの体験者による証言や「県史」を再び否定しているものである。
 沖縄戦における「集団自決」が、「軍による強制・強要・命令・誘導等」なしには、起こりえなかったことは否定することのできない事実であり、その事実がゆがめられたことは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌につくしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではありません。
 教育とは真実を教え伝えるもので、教科書は、教科の主たる教材として重要な役割を果たしており、人間の尊厳、平和、民主主義を基調とする憲法の理念に役立つものでなければなりません。
 よって、当村議会は、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、沖縄戦の歴史を正しく教え伝えることが責務だと考え、今回の削除・修正について速やかに撤回されるよう強く要請する。

以上、地方自治法第99条の規定により、この意見書を提出する。

 平成19年6月27日

沖縄県島尻郡粟国村議会  

あて先
 総理大臣   殿
 文部科学大臣 殿

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