教科書検定に関する意見書

 2008年度から使用される高校教科書検定結果の公表によると、沖縄戦における「集団自決」の記述について、日本軍の命令や強要があったということは「実態を誤解する恐れがある」との検定意見により、日本軍による命令・強制・誘導等の日本軍の関与に直接言及しない記述に修正させられていたことが明らかになった。
 今回の文部科学省の検定結果は、加害者の日本軍側の生き残りという一方的な意見だけを聞いての結果である。
 しかしながら、係争中の裁判を理由にし、かつ一方の当事者の主張のみを取り上げることは、文部科学省自らが課す検定基準である「未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと」を逸脱するばかりか、体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするものである。
 沖縄戦における「集団自決」では、渡嘉敷で起こったことを例に挙げると、島の数名の住民に手榴弾を2個渡し、「敵に遭遇した時に1発、もう一発では自決しなさい」と日本軍による命令が出ている。このような紛れもない事実がゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない。
 最近(5月)の県民世論調査においても81.4%の県民が、教科書検定の「集団自決」修正に対して反対意思を示している。(賛成は8%、わからない10.6%)この結果を見ても、いかに多くの県民が教科書検定の「集団自決」修正・削除に反対しているかが伺える。
 よって当村議会は、沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の検定意見が速やかに撤回されるよう強く要請する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成19619

沖縄県多良間村議会  

あて先
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 文部科学大臣
 沖縄県知事

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