「大江・岩波『集団自決』訴訟」          (個人用)

適正かつ十分な審理と公正な判決を求める要請書

現在,貴庁において,梅澤裕氏及び赤松秀一氏が原告となり、株式会社岩波書店及び大江健三郎氏を被告とする平成17年(ワ)第7696号事件が係属しています。同訴訟は,去る沖縄戦において,座間味島の守備隊長であった梅澤氏及び渡嘉敷島の守備隊長の遺族である赤松氏が,沖縄戦下に両島で発生した住民の集団死(「集団自決」)は隊長命令によるものではなく,それを「隊長命令」だと記述している家永三郎著「太平洋戦争」及び大江健三郎著「沖縄ノート」は原告らの名誉を毀損するとして,謝罪広告等を求めているものです。この訴訟は名誉毀損の成否という当事者間の問題に留まらず,沖縄戦の実相及び本質にかかるものとして決して看過しえない重大なものであります。

沖縄戦下における住民の「集団自決」の本質をめぐっては,家永三郎氏が国を訴えた教科書第3次訴訟においても問題となり,最高裁判決は,これまでの沖縄戦研究の成果を踏まえて,「集団自決の原因については、集団的狂気、極端な皇民化教育、日本軍の存在とその誘導、守備隊の隊長命令、鬼畜米英への恐怖心、軍の住民に対する防備対策、沖縄の共同体のあり方など様々な要因が指摘され、戦闘員の煩累を絶つための崇高な犠牲的精神によるものと美化するのは当たらないとするのが一般的であった、というのである。(中略)そして、集団自決と呼ばれる事象についてはこれまで様々な要因が指摘され、これを一律に集団自決と表現したり美化したりすることは適切でないとの指摘もあることは原審の認定するところである」と明確に判示しています。

このように「集団自決」の本質は,日本軍による命令・強制・誘導などにより多くの住民が自決を強要されたものであることは,上記の最高裁判決によって決着済みであり,原告らの請求はそれを無視するものだといわざるをえません。

私たちは、本訴訟において沖縄戦研究の成果が生かされるような審理が適正かつ十分になされ,上記の最高裁判決が踏襲されるような公正な判決がなされることを,強く要請するものです。

【要請事項】

1.この裁判が、先の家永教科書裁判判決ならびに沖縄戦研究の成果をふまえ、適正かつ十分な審理と公正な判決を求めます

氏名

住所

大阪地方裁判所第9民事部合議2係 御中

  

沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会
連絡先/沖縄県那覇市古島1146 教育福祉会館
沖縄県高等学校障害児学校教職員組合内
TEL098-887-1661 FAX098-885-3542




 




inserted by FC2 system