6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!沖縄県民大会 決議

 330日、公表された高校教科書検定結果で沖縄戦における「集団自決」に関わる記述について「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現」とし、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正するよう指示していたことが明らかになりました。その検定意見により、日本軍という主語が消され、「集団自決」とは、「住民が勝手に自ら死んだ」とも読める教科書が全国の子どもたちの手に渡ろうとしています。
 沖縄戦の記述をめぐっては、1982年、文部省(当時)の検定により、日本軍による「住民虐殺」の記述削除が明らかになった際、臨時県議会(19829月)は「県民殺害は否定することのできない厳然たる事実である」と全会一致で意見書を採択し、記述復活をさせました。その際、文部省自らが、沖縄戦の住民犠牲を記載する場合は、「集団自決」も記述するよう求めたのです。
 そして第3次家永教科書裁判における最高裁判決は「『集団自決』の原因については、日本軍の存在とその誘導」かつ「自ら死んだ集団自決と表現したり、美化することは適切ではない」と明確に示しています。このような経過から「集団自決」が教科書記述として定着してきたのです。
 今回、文科省は記述修正・削除の主な理由として、大阪での「集団自決」訴訟を挙げています。しかし、裁判は一個人の名誉毀損の訴訟であり、その主張が沖縄戦の全体像を表しているはずがありません。しかも裁判は現在係争中であり、そのことをもって教科書を書き換えさせることは裁判へ政治的な影響を与えるものです。さらに、今なお証言し続けている体験者の叫びを無視し、裁判の原告の主張のみを一方的に取り上げることは、体験者を愚弄するばかりか、これまでの研究の成果である「県史」や今なお進められている各市町村による沖縄戦の調査を否定しようとするものです。
 沖縄戦における集団死・「集団自決」が、「軍による強制・強要・命令・誘導等」によって引き起こされたことは、否定できない事実なのです。その事実がゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって到底容認できるものではありません。県民の90%以上が削除・修正に反対し怒りの声を上げるなか、豊見城市を皮切りに那覇市、座間味村など20市町村(6/8現在)が意見書を採択しています。今後、県内全41市町村が臨時あるいは定例議会で削除・修正反対の意見書採択が行われる予定です。
 文部科学省は、これらの意見書こそを沖縄県民の声として真摯に受け止めるべきです。
 教科書は子どもたちに真実を伝える重要な役割を担っています。だからこそ、子どもたちに沖縄戦の実相を正しく教え伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにしなければなりません。私たち沖縄県民は満身の怒りを込めて今回の検定意見に抗議し、以下を決議します。

一、「沖縄戦の実相」を子どもたちに伝えるため、沖縄戦「集団自決」に関する教科書検定意見をただちに撤回すること。 

あて先

 文部科学大臣、内閣総理大臣

 沖縄県知事、沖縄県議会議長

            69沖縄戦の歴史歪曲を許さない!沖縄県民大会参加者一
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