2007年12月28日
文部科学大臣 渡海 紀三朗 殿
沖縄戦「集団自決」記述問題の教科用図書検定審議会答申に対する抗議および要求書
沖縄戦教科書検定意見の撤回を求める市民の会-東京-
代表 阿部 ひろみ
貴省および教科用図書検定審議会は12月26日、高校日本史教科書における沖縄戦での強制集団死(いわゆる「集団自決」)記述に関する訂正申請の審議結果を公表したが、その内容は、私たちや沖縄の人々、そして全国の人々が再三要求してきた「検定意見の撤回」を拒否し、ふたたび歴史の真実を歪曲するものである。私たちはこのことに強い怒りを込めて抗議し、あらためて検定意見の撤回と記述の回復を要求する。
そもそも今回の問題の発端は、長年にわたって教科書に記述されてきた日本軍の強制性を、根拠のない検定意見を付して削除させたことにある。従って、この恣意的に歴史の真実を歪曲した検定意見の撤回なくして、「中立・公正」な審議など有り得ないことは、今回の訂正申請の審議結果からも明らかである。
3月以降、このまま教科書から沖縄戦の事実を消してはならないと、それまで自らの悲惨な経験を封印してきた体験者が語りだしたことで、日本軍の強制・命令・誘導等なくして沖縄戦における「集団自決」はあり得なかったことがより明らかになっているにもかかわらず、教科書会社からの「訂正申請」という姑息な手段により、しかも大きく後退した記述を押し付けることで決着をはかろうとしていることには、沖縄県民はもちろんのこと全国の市民はとうてい納得できるものではない。
このような、恣意的な検定を許した背景には、検定制度そのものの密室性に問題がある。今回の検定意見作成や訂正申請の対応を実質的に行っていたとされる教科書調査官制度の廃止も含めた検定制度の抜本的見直しが必要である。
沖縄の県民大会で高校生は訴えた。
「うそを真実と言わないでほしい。」
「例え醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい。」
私たち市民も、次世代の子どもたちに真実を伝えたい、伝える責任があると考える。真実を伝える教科書を取り戻すまで、私たちは訴え続けることを宣言し、以下を要求する。
記
1.
今回の検定意見を撤回し、その経過と責任を明確にすること。
2. 今回の「訂正申請」をやり直し、日本軍の「強制」などの記述を回復すること。
3. 今後、教科用図書検定調査審議会の審議を公開するとともに、今回のような事態が繰り返さ
れないように教科書調査官制度の廃止を含めた検定制度の抜本的見直しや検定調査審議会委
員の選任を見直すこと。
以上