社会科教科書執筆者懇談会開催の呼びかけ

 皆様ご承知のように、今年3月末に高校日本史教科書に対する検定結果が公開されましたが、そのなかで沖縄戦のいわゆる「集団自決」に関し、それが日本軍の強制によるものとする趣旨の記述が削除されたことが明らかになりました。これについては、これまでの研究の積み重ねのなかで通説とされてきたことにもとづく記述を、現在進行中の裁判での元戦隊長ら一方の側の主張を根拠に強制的に書き換えさせたものであるなどの批判がおこっています。とくに現地沖縄県民の批判は強く、県議会、県内全市町村議会が検定意見の撤回を求める意見書を採択し、929日には県議会議長を実行委員長とする超党派の県民集会が開催されるまでにいたっています。
 社会科教科書執筆者としては、これまでも文部省・文部科学省による教科書検定に対し、恣意的な検定意見によって学問の自由、表現の自由を侵害するものなどと批判してきたところですが、今回の沖縄戦検定は、文部科学省がこれまでまがりなりにも検定の原則として表明してきたところとも矛盾するものであり、とりわけ重大な問題をはらんでいるものと考えざるを得ません。
 また、歴史の体験者・継承者でもある沖縄県民の心と声に、歴史を学び研究する者としてどう向き合うのかということも問われているように思われます。
 このような事態のなかで、社会科(地歴科・公民科)教科書執筆者としてこの問題をどう考えるか、どう対応すべきか、教科書にいっそう正確な歴史記述を実現するために具体的に今後どうすればよいか、などについて話し合い、可能な限り共同歩調をとってのぞみたいと考え、下記の通り懇談会を開きたいと思います。なおこの懇談会には、今回の検定に関係する執筆者の方々だけでなく、小・中・高校の社会科関係執筆者の皆様にひろくご出席いただきたく存じます。
 ご多忙のところとは存じますが、万障お繰り合わせご出席くださいますよう、お願いいたします。なお、ご欠席の場合も、事前にご意見など連絡責任者あてにお寄せいただければ幸いに存じます。

日時 2007925()午後7時より
場所 内神田社会教育会館第3集会室(JR神田駅西口、地下鉄大手町駅A2出口より5    千代田区立総合体育館8、会場表示=千代田区教科書研究会 

 200792

呼びかけ人 荒井信一 石山久男 宇佐美ミサ子 大日方純夫 木畑洋一 木村茂光 高嶋伸欣 田港朝昭 中野 聡 西川正雄 浜林正夫 広川禎秀 服藤早苗 峰岸純夫 宮地正人 山口剛史 米田佐代子

 

 

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