教科書検定意見の撤回をもとめる意見書の採択についての要請

 連日報道されているように、先日文部科学省からの検定意見により、高校用歴史教科書から沖縄戦「集団自決」への日本軍の関与が削除されました。私たち「琉球大学学生平和ガイドの会」は、今回の検定意見に強い違和感を持ち、知事・県議会にも県民の代表としての適切な対応を求めます。
 私たち学生平和ガイドの会は1997年に琉球大学の学生有志で結成された会です。これまで、多くの戦争体験者の証言を直接聞き、実際に現地を訪れて沖縄戦についての学習をしてきました。その成果を生かし、これまで約40校の沖縄修学旅行平和学習のガイドとして、生徒と共に学んできました。活動を通して見えてきたのは、体験者の話に真摯に耳を傾けることや、お互いの感じた疑問を実証的に調べていくことの必要性です。これは戦争体験のない私たちの世代が、過去の戦争について学んでいく上で必要不可欠なことであると考えています。
 このように修学旅行生と一緒に沖縄戦について学びながら、私たちが沖縄戦の実相として把握してきたのは、多大な住民犠牲の背景には日本軍の存在があったという事です。修学旅行生も現地での学習や体験者の話を聞くことを通して、そのことを実感しています。ある修学旅行生は「壕の中に入って、戦争でたくさんの人が米軍に殺されて死んだんだと思っていたけど、味方である日本軍に殺された人も多いということをちゃんと受け止めなきゃいけないと思った」と述べています。このように、住民犠牲への日本軍の関与は、沖縄戦学習を通して私たちの世代が共有すべき歴史的事実であり、これから先も自ら学び、同年代の修学旅行生と共に考えていきたいテーマです。
 今回の検定結果は、多くの体験者の証言や沖縄戦研究の成果を無視していると考えています。この教科書を使って学習する高校生が、沖縄戦の実相を学べるとは思えません。各学校での歴史学習を土台にしてこそ、私たちは現地で生徒と一緒に沖縄戦の真実に迫ることができると考えています。
 戦争体験者が少なくなり、戦争体験の風化が叫ばれる現在、これまでの沖縄戦研究の成果を踏まえた歴史的事実を次世代に伝えていく必要があります。再び悲惨な戦争が起こることがないように、私たちは以下のことを要請します。

一、沖縄県民の代表である県議会として、県民の声である検定意見の撤回を求める意見書を採択すること。

2007年6月6日
琉球大学学生平和ガイドの会
代表 赤嶺玲子(琉球大学大学院生)

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