今年の3月30日に公表された高校日本史の教科書検定で、沖縄戦のいわゆる「集団自決」に関し、日本軍による強制があったとする趣旨の記述を削除したことが明らかになりました。これに対し、沖縄戦の事実を歪めるものであるとの抗議が各方面から文部科学省に対しておこっています。
沖縄県議会でも、6月22日と7月11日の二度にわたり、検定意見の撤回を求める「教科書検定に関する意見書」を全会一致で採択しました。また、これと前後して沖縄県内41すべての市町村議会でも同様の意見書が採択されました。
ところが、文部科学省は、これらの抗議を無視し検定意見の撤回を拒否しつづけています。
いわゆる「集団自決」(強制集団死)が日本軍の命令・強制と誘導によるものであるという事実は、多くの証言と歴史研究によって明らかにされ、今日まで通説として認められてきました。その結果、昨年までの教科書検定ではなんら検定意見が付されることなくその記述が認められてきました。今回、命令・強制と誘導という事実をかくし、「集団自決」(強制集団死)を住民の自発的なものであるかのように書き直させたことは、歴史研究を踏みにじり、沖縄県民が体験し継承してきた歴史の事実を抹殺するものです。
それは戦争と軍隊を美化し、海外で戦争する「日本軍」の復活をめざす憲法改悪につなげようとする意図から発したものといわざるを得ません。
私たちは、「集団自決」(強制集団死)が日本軍の命令・強制と誘導によっておこった事実を削除させた検定意見を撤回し、沖縄戦の真実が教科書において正しく記述されることを認めるよう求めます。
2007年8月4日
歴史教育者協議会第59回大会 会員総会
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